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新米が手に入ると、わたしたちは水加減に気をつけて、土鍋で多めに炊くことにしています。
沸騰したら中火で3分、火からおろして10分おいて、今度は弱火で3分加熱。
再び10分蒸らすとできあがり。
ほどよくおこげもできるので、最高の炊き方だと思います。
これは夫のほうが上手なので、いつも彼にお願いするのですが。
炊きあがったつやつやの新米は、ただもうそれだけをたくさん食べたくって、いくつかのごはんのお供だけを用意します。
のりの佃煮とか、梅干しとか、いかの塩辛とか、手作らずのオンパレード。
とくにわたしたちが好きなのは、塩漬けしただけの辛くないタラコと、生たまごです。
いろんな副菜をちょっとずつつまみながら思うさま新米を堪能して、後のほうでちょびっとだけタラコを口に含むのが好きなのです。
小さな小さな粒粒にぎっしり旨みを閉じ込めて、プチプチとした食感とともにお米の甘みを引き出してくれます。
そして最後の一口ぶんだけ、たまごかけごはんにするのを楽しみにしています。
新米になんてことを!とおっしゃる方もおられましょうが、なんだかいけないことをしているみたいでわくわくしちゃいます。
1個のたまごを夫と半分こして、やや改まった雰囲気でおもむろに味わうのです。
「いつか田舎で鶏さんを飼って、うみたてたまごを食べられるといいですねえ」
夫が平和な将来設計を口にします。
「きっと黄身がこんもりしてるんだわ!」
わたしも平和な想像に興奮気味です。
こうして毎年彼と新米を食べられるといいなあ。とも白髪になったり、ちょっとごはんの水加減も多めになったりして、ずうっと楽しく暮らせるといいなあ。
そう心から願います。
好きなものを好きな人と食べること。
これこそがわたしにとっての、「世界でいちばんおいしいもの」なのです。
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