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しかし、ああもう!串持ってもふもふ食べてる伊緒さんの愛くるしさよ。
その破壊力に変な汗が出てくる。
なんかおかしなこと言ってるかなあ。
次はみかん飴でも食べさせたいなあ、などと企んでいると、伊緒さんが焼きそばの屋台をじぃーっと見つめているのに気がついた。
食べたいのかな?と思ったけどそうではなくて、炒める手際を一生懸命観察しているのだ。
両手に持ったヘラで豪快に具と麺を混ぜ合わせ、ソースを大きく放射状にかけ回す。
熱い鉄板にかかったソースがじゅわっと蒸発し、えも言われぬ香ばしい匂いが沸き立った。
「そっか!鍋肌で焦がせばいいんだわ!」
突如大きな声を出した伊緒さんはぽんっと手を打って、あたまに「ぺかーっ」とまめ電球を灯している。
どうやら、焼きそばの極意を掴まれたようです。
「今度つくるから!めだま焼きのっけてあげるね!」
"にひひー!"と伊緒さんが屈託なく笑う。
ああ、もう、らめぇ。
と、その時後ろからぽんぽん、と肩を叩かれた。
「秋山?やっぱり!めっちゃ久しぶりやん!」
振り向くと、懐かしい高校時代の同級生の顔が。
モテないズのエースとまで呼ばれた男だ。
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