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土用の丑がやってきた!うなぎを食べねばなりますまいよ
暑い。
それはもう、暑い。
この暑さをなんとかかんとか乗り切ろうと、気力をふりしぼったのは古代の人も同じだったのだろう。
万葉集にこんな歌が記されている。
石麻呂に
我もの申す 夏やせに
よしといふものぞ
むなぎ捕りめせ
「むなぎ」とはうなぎのことで、胸のあたりが?色いことから「胸?」が語源ともされている。
やせっぽちだった「石麻呂」という人物を心配して、夏場にスタミナをつけるためのアドバイスをするという、ユーモアあふれる歌だ。
詠み人は万葉集の編纂者として知られる「大伴家持(おおとものやかもち)」。
酒の歌で有名な「大伴旅人(おおとものたびと)」の嫡男でもある。
このことから、奈良時代にはすでにうなぎが滋養のある食べ物と考えられていたことが分かるが、その調理法は現代とは異なるものだったようだ。
うなぎを開いてタレで調味する、いわゆる「蒲焼き」が登場するのは江戸時代の半ば頃とされている。
同名の料理は中世の文書にも認めることができるが、当時はぶつ切りにした身を串焼きにしただけの、シンプルなものだったと考えられている。
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