143人が本棚に入れています
本棚に追加
/111ページ
もともと脂も骨も多いうなぎは、決して食べやすい魚ではない。
でも身を開き、骨を除き、蒸して焼いてタレを塗ってまた焼いて……と、おいしく食べられるよう工夫に工夫を重ねて編み出したのが「うなぎの蒲焼き」だ。
土用の丑の日にうなぎを食べるようになったのは、平賀源内の広告がきっかけになっているというのはあまりにも有名なお話だ。
たった一言で、もはや行事に組み込まれるほどの歴史をつくってしまったのだから、ペンの力というのはすさまじい。
北国育ちの伊緒さんが、はたして内地の暑さに適応できるのだろうかとずっと心配だった。
雪ん子のように溶けてしまったらたいへんだと気をもんだけど、意外と元気いっぱいでぼくよりしゃきっとしていたりする。
今日はまさしく土用の丑の日。
いつもおいしいご飯をつくってくれている伊緒さんに、お礼の意味も込めてうなぎをご馳走しようと決めていた。
がんばったらお家でつくれるメニューは多いけど、これに関しては専門店の力に頼ってもいいだろう。
実を言うと、「うなぎ屋さん」に行くのは初めてのことだ。
「あっ、あのっ、"竹"のセット2名れ」
最初のコメントを投稿しよう!