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ほとんど初めて見るものばかりの伊緒さんは、とっても素直に喜んでいる。
もう何十年もデザインが変わっていないような、レトロなパッケージのスナック菓子。
色とりどりのビーズみたいな、なんかモチモチした甘い粒菓子。
お米をポップコーンみたいにした、昔ながらのポン菓子。
小さなガムとかアメが"わしゃっ"とあって、さらにお菓子というより珍味とかおつまみのような品も懐かしい。
大人になったいま見ても、ものすごく楽しい。
伊緒さんはどうだろうかと横を見ると、
「はわはわはわはわ」
と、感動に打ちふるえていらっしゃった。
さらにひとつずつの値段の安さを聞いて、よりいっそう感じ入っておられる。
こどものお小づかいで最大限楽しむことができるよう、真心込めて考え出されたお菓子なのが伝わったのだろう。
「晃くん、これ。これものすごく気になる」
ぼくの半ソデをぎゅうっと握りしめて、伊緒さんがひとつのお菓子を指さした。
トンカツを極薄にしたような、むしろおかずっぽさもある一品だ。
さすがお目が高い。
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