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たこ焼きとプラネタリウム。大阪デートの定番おやつです
ぼくが育った関西地方の田舎街に引っ越してきてから、伊緒さんとちょくちょく大阪に遊びに出かけるようになった。
札幌育ちの彼女にとって関西の街並みはいまだに珍しいらしく、大阪なんてそれこそ「異郷」を通り越して「魔境」みたいなものかもしれない。
とはいえぼくのイメージでは、北海道民は大阪に好意的な人が多いような気がする。
関西弁圏の方が道内に旅行することがあれば、旅先ではきっぱり訛ってみてほしい。
きっと、
「おおっ!」
ってな感じで、もともと温かい道民のまなざしに、さらなる親しみがこもるであろうこと請け合いである。
そうなのである。
関西に越してきてすぐの頃、伊緒さんと大阪に行くときはなるべくこれみよがしに「大阪らしい」界隈を歩いたものだった。
新世界とか道頓堀とか千日前とか、ぼくから見ても過分にエキゾチックなディープ・オオサカ。
「ミナミって……帝王のいるところ?」
「バーン!って撃たれる真似されたら、倒れるのがマナーなのね」
「相手のボケにツッコまないのは、侮辱にあたるってほんとう?」
等々、当初伊緒さんは他府県のみなさんが陥る心配事に、真剣に頭を悩ませていた。
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