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ぼくの渾身のボケがツボにはまった伊緒さんは、以後プラネタリウムと聞くと、必ずたこ焼きの映像が目に浮かぶという共感覚を獲得したそうだ。
関西で暮らすようになってから、彼女はたこ焼き屋さんの多さにしきりに感心したものだった。
いわく、おじさんが一人きりでふらりとたこ焼き屋さんに出入りする光景が、とても珍しく感じられたのだという。
北海道にだってもちろんたこ焼きはあったけれど、ここまで日常に溶け込んでいるとは想像できなかったそうだ。
おやつにもいいし、ビールのおつまみにもいい。
関西人にとってたこ焼きは、老若男女問わず楽しめる身近な食べ物なのだ。
伊緒さんは大阪のプラネタリウムと同じくらい、たこ焼きがお気に召したようだった。
ぼくは関西以外の土地でたこ焼きを食べたことはないのだけど、やっぱり本場の味は「ぜんぜん違う!」らしい。
薄くもちっとした皮をやぶるとタコがごろんと入っていて、とろとろの生地にはしっかりと出汁の旨味がきいている。
「ソースどないします?」
「マヨかけてええですか?」
職人さんが素早くたこ焼きをひっくり返しながらオーダーをとってくれるのも、すごくおもしろいという。
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