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なんだか安心してしまうと、急におなかが空いてきた。でも食材はほとんどなくって、買い出しに行こうにも雨脚はますます強くなっている。
ご飯だけは炊けていたので、保存食でもないかと戸棚を物色していると、パックの削り節を発見した。
伊緒さんと思わず顔を見合わせて、もちろんねこまんまにしておいしくいただいた。
お茶碗に熱々のご飯をよそい、お醤油をちょいちょい。その上にふわふわと削り節を振りかけ、あと少しお醤油をちょい。
かつおのもつ、舌の根がきゅっと縮まるような旨味がなんだか妙に楽しくって、このねこまんまは出色のご馳走となった。
子ニャーも自分のご飯をたいらげて、ぽんぽんのおなかですっかり満足そうだ。
伊緒さんが庭から引っこ抜いてきた猫じゃらしでかまってあげると、大喜びして何度も何度も飛びついて遊んでいる。
ぼくが仕事のため二階の部屋に上がった後も、しばらくはにーにーという鳴き声と伊緒さんの笑い声が聞こえていたけど、やがていつの間にか静かになった。
どうしたのかな?と思ってそーっとのぞきに行くと、二人(?)はまったく同じポーズですやすやと気持ちよさそうに眠っている。
おんなじような顔をして、子ニャーと大人ニャーの親子みたいだ。
雨はまだ、強く降っている。
もう一食くらいねこまんまでも、いいんじゃないだろうか。
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