今日のお寿司は回りません!東と西でこんなに違いがあるのです

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 「お寿司をごちそうしよう」と声をかけてくださるおじ様もいらっしゃいましたが、なんだか怖いのでそのつど大おじの三十三回忌を理由にお断りしてきました。  あわあわあわ、と落ち着かない気持ちですが、隣の夫はたいへんくつろいだ様子で熱いお茶などすすっています。 「いらっしゃいませ。"お昼のおまかせ"で承っております。それでは、ご順に握ってまいります」  髪を短く刈り込んだ若い職人さんが、丁寧にあいさつをしてくれます。  夫が「よろしくお願いします」と軽く会釈したのに合わせて、わたしも座ったままぺこりとおじぎをしました。  なんだろなんだろ!  慣れてるんだべか、こういうの!  前菜として出してくれた「海鮮のオクラ和え」を頂きながら、ふしぎな感慨にひたってしまいます。  寿司ネタの切れ端を上手に使った一品ですが、たくさんの種類の魚介を一時に味わえる、ぜいたくなお料理です。  お出汁もすごくいいのでしょう、奥行きのある三杯酢がとろっとしたオクラとからまり、魚介それぞれの魅力を引き出します。  もうお口の中がいろんな味でいっぱいで、すでにとっても幸せ。
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