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お寿司というひとつのジャンルに、食文化の多様性が見事に現れているのでした。
白身などのあっさりしたものから、というセオリーに合うよう、前半は関西風の握りを出してくれました。
職人さんは寿司酢のようなものを指に浸し、おにぎりを握るときのような形でぽんっ!と両手を打ち合せます。
シャリとネタを合わせて握る優雅な手付きは、まるで掌中に小鳥がいるかのようなやさしさでした。
初めて目の前で見る寿司職人の技前に、夫と一緒にほれぼれと見入ってしまいます。
「よろしければ、こちらは粗塩で」
「お好みですだちを絞っていただいても」
控えめなアドバイスに従っていただいたお寿司の、なんとまあ素材の味が引き立つこと!
ねっとりと甘いイカの身や、初めて食べるみずみずしいイサキなど、「ああ、お魚ってこんな味がするんだあ」という新鮮な驚きでいっぱいです。
また、なによりも口に入れた瞬間にほどけてしまうシャリにも感激しました。
よくこれでお寿司の形を保っていますね、と思うほどふわふわで、なんだかお米とお米の間にたくさん空気の層があるみたいな食感です。
「おいしい……!すごくおいしいです」
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