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ところが一関には「刀のまち」以外にもうひとつの顔があった。
それはなんと「餅のまち」。
一関を含む岩手県南地方では、お祭りや行事ごとがあるとお正月に限らず、たくさんのお餅でお祝いするという風習があるのだ。
しかもその味付けのバリエーションはざっと300種類を超え、なおかつ現在進行形でメニューは増え続けているという。
そして数ある餅料理のなかでも最高のもてなしに、「餅本膳」なるものがある。
これはお餅による本膳料理というべき格式をもち、武家の歴史に由来する礼法にのっとって食事を進めていく。
"おとりもち"と呼ばれる進行役の方がおり、
「本日は至っての堅餅でありますが……」
と、口上を述べるのもなんとも奥ゆかしい。
どのお餅から食べるか、どのお餅ならおかわりしてもいいか等々の作法もあり、頂く側も背筋が伸びる思いだ。
でもこれらの作法はすべて、客人に気持ちよくおなかいっぱいお餅をご馳走するという、おもてなしの心が詰まったものだ。
だから餅本膳は別名を「ふるまい餅」ともいう。
これは喫茶店のスイーツなんかでも同様で、数種類の甘いお餅を盛り合わせたセットメニューを楽しむことができる。
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