お餅のかたちは丸?四角?餅好きはお正月以外も食べたいものです

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 そのときの旅行では小豆あん・ずんだ・胡麻あん・みたらしの4種類の小餅と抹茶をいただいた。  伊緒さんはどれから食べようかじっくり考えた末、半分ずつ順にかじっては、もっちもっちと幸せそうに咀嚼していた。  ほんとにお餅が好きなんですねえ。  さて、伊緒さんを代表とする東北・北海道の人がお餅好きというイメージはともかく、実はぼくが育った和歌山も隠れた餅どころだったのだ。  それというのも、和歌山は日本一「餅まき」を行う地域として、民俗学上つとに名高い。  お祭りのときはもちろん、新築だ厄除けだ学校行事だと、ありとあらゆる機会にかこつけて餅をまく。  県内すべての餅まき日程を網羅した「餅まきカレンダー」なるものがあり、和歌山を「餅まきの聖地」と呼ぶ人もいるほどだ。  餅まきというのはなんというか、眠っていた狩猟本能とか闘争本能みたいなものを呼び覚ます効果があるらしい。  普段は温厚なことで知られる和歌山県民だが、いざ餅まきとなるとその仮面を脱ぎ捨て、獰猛な野性を全開にして牙を剥くのだ。  空中を飛び交う餅めがけて老若男女が殺到し、知らない人が傍から見るとまるで暴徒と化したかのような迫力がある。
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