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祖母はわたしに庭の草木の名前を教え、フキの葉の下には妖精がいることを教えてくれました。
動植物だけではなく器物すらも含む、この世のすべてのものにはカムイが宿っているのだということも、祖母からの教えです。
ふるさとに伝わる古い神話の語り部だった祖母は、幼いわたしにとって素晴らしい先生であり、いちばんの友だちでもあったのです。
そして、とってもお料理がじょうずな人でした。
あらかじめつくるものを決めておくというよりは、いまある食材をざっと見て、
「さあ、いおちゃん。これでなにができるかねえ」
と、即興で考え出すことがほとんどです。
わたしは祖母が料理をつくるのを見るのが好きで、いろんな食材をあれよというまにおいしく変身させる手際は、まるで魔法のように感じたものでした。
わたしが調理の様子を見やすいように、祖母は台所に椅子を用意して、そして小さなエプロンをつくってくれました。
幼くてなにがお手伝いできるというわけではありませんでしたが、仕事のなかまに加えてもらったみたいで得意な気分だったのを覚えています。
「いおちゃん、準備は?」
「おーけー!」
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