"ピッツァ"は"ピザ"のオサレな言い方…ではないんですって?

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 さて、ぼくだけそんなほのかな疑問を抱きつつ、瑠依さんの案内で件の石窯焼きピッツァのお店へと繰り出した。  小ぢんまりと落ち着いた店構えで、入り口脇のガラスケースには枝のままの生ハムがディスプレイされている。  ドアを開けた瞬間、 「ベンヴェヌーティー!」  ようこそ!と、陽気な歓迎の挨拶が降ってきた。  瑠依さんはなれた様子で窓際の席につき、 「メニューは少ないの。任せてもらっていい?」  と、迷うことなくぱっぱっぱ、と注文してくれる。  スタッフの人はオーダーを通すのもすべてイタリア語で、めちゃくちゃかっこいい。 「なんトカーノ」 「かんとかニッシモ」  などと伊緒さんと真似して遊んでいたら、瑠依さんもぽそりと、 「なんじゃそラッレ」  と参加してくれる。  グラッツェ。  あっという間に出してくれたタコのカルパッチョをおつまみに、赤・白・ロゼのグラスワインで乾杯して回し飲んでいると、ほどなくお待ちかねのピッツァが運ばれてきた。 「マルゲリータとペスカトーレです。お熱いのでお気を付けて。ボナペティート!」
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