まさか自宅で缶詰バーとは!じつは子ニャーも常連さんです

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 今回はせっかくなのでこの大量の缶詰を、 「どじゃーん!とったどーっ!」  と広げてみるのはどうだろう。  うん、いける。  いけるぞ、これは。  自信たっぷりに披露した缶詰の山は、結果としてうまくいかなかった。  伊緒さんは一瞬(おおっ!)という顔をしたけど、またしてもムスぷーん!とそっぽを向いてなかなか許してくださらない。  意気消沈して自室に引きあげたぼくは、いったいどうしたらよいものやら途方に暮れてしまった。  ケンカらしいケンカなんてまだしたこともないと思っていたけど、それは彼女がいろいろ我慢してくれているだけなのかもしれない。  じつはぼくが知らないだけで、けっこう無神経に伊緒さんの気分を害するようなことをしているんじゃないか。  そんなことを悶々と考えているうちに、外はとっぷりと暗くなってきた。  やっぱりストレートにあやまろう。  それがいい、そうしよう、と意を決して階下に下りていくと、リビングは真っ暗で台所のほうだけうすらボンヤリと灯がともっている。  何事かと不安になって台所の引き戸をそおっと開けると……。
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