まさか自宅で缶詰バーとは!じつは子ニャーも常連さんです

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 マスターは缶入りのミックスナッツを取り出し、バジルパウダーをまぶして小皿に盛ってくれる。  おおう、爽やかな香りがたって、これもおいしい。  ぼくはいつの間にかマスターに心をゆるし、いろいろな思いを吐露していた。  いつも言葉がたりなくて、伊緒さんに100%の気持ちを伝え切れずにいること。  いつもおいしいご飯をつくって、笑顔で出迎えてくれる彼女に報いることができるか不安なこと。  マスターはただただ、 「ええ」 「ほう」 「はっは」  などとやさしく相槌を打つだけだ。  でも、聞きながらもずっと手を動かして、頃合いをみて新たな一皿を供してくれた。 「どうぞ。メインディッシュ、といえるかもしれません」  ぼくが思わず歓声を上げたのはほかでもない。目の前にはなんと、小さな「チーズフォンデュ」一式が用意されたのだ。  ソーセージ・ホワイトアスパラ・ベビーコーン・マッシュルーム、いずれももちろん缶詰のものだ。  そしてスープカップには缶詰のコーンクリームに、ミルクとピザチーズを混ぜてレンジにかけたソースが、湯気をたてている。  すごいすごい!
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