reverse relay

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 その医者に治せない病気なんて無い――  病死を突きつけられた人は、そんな夢のような医者がいれば誰もが診てもらおうと思うのではないだろうか。  矢原須直(やはらすなお)の婚約者、御堂紗枝(みとうさえ)は、不治の病で床に伏せていた。このご時世、そんなものが存在するのかと、医者を疑った。  インターネットが支流になった今、病気の知識など、素人でもほとんどの事を知る事ができる、須直は紗枝の病気を調べていた。彼女は須直にとって大切な存在、結婚式まで残り一ヶ月、一緒に入籍しようと婚姻届を出しに行く道中、紗枝は気を失い倒れた。  病院からは疲労とストレスと言われた。しかし日に日に悪化していく彼女を見ていると、地獄に落とされた気分だった。幸せを目前にして、紗枝を死なせる訳にはいかなかった。  素人が知り得る知識なんてものは、プロの医師からすれば氷山の一角のようだろう、その医師が手を尽くしても治せないものを、一企業に勤めるサラリーマンの須直がどうこうできるわけがない。紗枝が生きれるのなら、何でもする。藁にもすがる思いで毎晩仕事を終えた後にネットを泳ぎ回った。  気がつくと画面の端に何やら広告が現れていた――
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