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「おはよう、奥さま」
目を開けるといつの間にかベッドの上にいた。暖炉は残り火になっているけど部屋は充分あったまってる。何より俺を抱いてくれてるフェルが熱いくらいにあったかい……
ん? 熱い?
口づけるのに引き寄せた。フェルはすぐに俺の上に覆いかぶさってきた。キスをもらう。優しい、朝のキス。でも。
「おい」
「なんだよ、ロマンティックな朝なのに」
「お前、熱あんだろ」
「無いよ!」
「いや、ある。いつも抱き合ってる俺が言うんだ、間違いねぇ」
「勘弁してくれよー、今日は図書室で本を読ませてもらおうって思ってるんだ」
「本なんかいつでも読めんだろ! だめだ、寝てなきゃ」
「リッキー、聞けよ。ボブが心配すると思わないか? いる間は普通に過ごそうよ。帰ったらちゃんと言うこと聞く。寝てろって言いうならお前の許しが出るまで寝てるから」
「……ホントだな?」
「誓うよ!」
確かにボブには心配かけたくねぇ。
「分かったよ。どうせ明日は帰るんだしな。今日は気づかなかった振りしとく。ただ無理すんなよ。たっぷり食べて夜はちゃんと寝るんだ」
「奥さま! 今夜はいいだろ? 僕は今夜もお前を食べたい!」
「ば、ばか! 病人の言うこっちゃねぇ!」
「嘘はだめ。もうお前の目が潤んでる」
「それは、お前のその手が悪さしてるからだよ!」
手の甲をつねり上げてやる。まったくベッドの中じゃ油断も隙もねぇんだ。俺のあそこ撫で上げてくりゃそりゃ目だって潤むって!
「とにかく! 絶対だめだかんな! 俺自分で貞操帯買いてぇよ。もちろん鍵はお前に渡さねぇ」
「それ、地獄だ……」
すっかりしょげた顔になってるから(しょうがない)って、軽いキスをしてやった。ほら、もう笑顔になってる。
「ホントに無理しないで。俺、お前の具合悪いのって辛いんだ……」
「ごめん」
そういや、フェルはよく熱を出す。フェルの場合、体が丈夫っていうよりはそういうことに自覚が無いのかもしんねぇ。シェリーも言ってたじゃないか、『我慢する子だ』って。そうだ、騙されちゃなんねぇんだ。
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