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「命に係わるんだよ、リッキー……」
重かった、その言葉が。
「今は? 今どうしてるんだ、フェルは」
「睡眠薬で眠らせた」
「今の兆候は?」
「飯、食わなくなり始めた。必死に体動かして水飲んでる。でもあんだけ勉強してんのに俺より成績下がった。さっき眠る前に……もう限界だって言ってた……」
顔を上げたタイラーには表情が無くって、俺は怖くなった。
「フェルを外に出すな。寝室からもバスルーム以外は行かせちゃだめだ。自殺願望が強く働く。それで叔父は死んだ」
「え!?」
「そうなんだよ、死にたくなるんだ、止められない。だから部屋から出しちゃいけない。ヤクからも普通にやってちゃ抜けるなんて不可能だ。外と遮断しなきゃだめだ」
ミッチのとこでも地下から出さなかった。
「俺と交代で見張ろう。講義があるから留守になるだろ? 誰もいないのはまずい」
「でも俺とタイラーだけじゃ無理だ」
「僕もいるよ。でもそれでも人は足りない」
二人が俺を見た。そんなこと……そんなこと、出来ねぇ!
「みんなに話すなんて無理だ! エディとタイラーくらいなもんだ、こんなの受け入れてくれるなんて!」
「リッキー、もう手段を選べないところまで来ている。俺は叔父を見てきたから分かる。金が入ればどんなことをしてでもヤクを手に入れる」
「フェルはそんなこと、しねぇ!」
「みんなそう思うんだよ。本人でさえそう思う、自分は強いはずだ、乗り切れるってね。そのうち負けるんだ、一回だけ。一回だけでいいから。後は止めるから。そして、終わる」
――そして、終わる
「フェルがああなったのは……俺のせいだ……俺がフェルを壊した……」
「リッキー、もう泣いてるヒマもないんだ。後悔しているヒマも。お前にフェルが限界だと言ったんなら、それはもう本当に限界なんだ。フェルはお前に弱音なんか吐かないんだから」
その通りだ……どんなに苦しくても俺にそんなこと悟らせねぇ……フェルは自分で片を付ける。
「決断しろ、リッキー。俺たちだけじゃ手が回らない。ぐずぐずしてると間に合わなくなる」
俺は……とうとう承諾した。
(フェル、許せ……他にどうしようもねぇんだ……)
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