11.雪

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11.雪

   「ボブのところに行かないか? しばらく行ってないし」 「うん! 行きたい! でも勉強大丈夫か? トレーニングとか」 「今日は金曜だろ? 泊りがけでどうかって考えたんだ。今まとめてるレポートにボブの本で参考になるのがあったと思ってさ。それにあそこならトレーニングにも困らないし」 「急にどうしたんだ? ボブには連絡取れてんのか?」 「まだだけど。お前こそどうした?」  俺は心配になった。またフェルが…… 「何か心配……リッキー。何かおかしなことがあったら言うよ。そうすることにしたから。お前にあんな思いをさせたくない」  抱き締められて俺はフェルの胸に耳を当てた。その胸はちゃんとしたリズムを俺に届けてくれてる。 「ごめん、疑って。お前が昨日トマトのデザート残したの、ちょっと引っかかってて…… で、最近お前が食欲無いなって気がついて。つい余計なこと考えちまった。少し痩せたし」 「あ、相談しようと思ってたんだよ! 僕の健康管理してるの、奥さまなんだから。体重を3キロ落としたいんだ。昨日のデザート、頑張って残したんだよ。ステーキも我慢して食べ過ぎないようにって。お前なら出来るだろ?」 「どうしたの? 今だって充分カッコいいのになんで痩せてぇんだ?」 「痩せたいって言うんじゃなくって体重落としたいんだ。お前の料理美味しすぎて残すのがいやでさ、そしたら3キロ体重が増えてた。この頃寝ちゃうんだ、勉強してる最中に。それでベスト体重ってもしかして前の体重かなって試してみようと思ったんだよ」  俺は……ムスッとしちまった。もっと早く言ってくれれば奥さんなんだからカロリー計算だってすんのに。勝手な判断で残すもん決めて。そんなんで健康的に痩せられるわけがねぇんだ。 「リッキー?」 「言えばちゃんと目標の体重にしてやる。もっと早く言えよ」 「思いついただけだったし。面倒掛けたくないって思っちゃって。でもやっぱりリッキーに手伝っ」 「面倒掛ける?」  俺がお怒りモードなったのに気がついたらしい、いきなり顎を持ち上げられて…… 「だめだ」  フェルの胸を両手で突っ張った。これをキスでチャラにしようってのが許せねぇ。 「3日間、禁欲しろ。俺に近づくな。ちゃんと食事は世話してやる、でも夜はだめだ。すぐに俺に相談しなかった罰だ」   
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