じゅうたい?

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「ふふふ。名誉ある仕事だ。実は君に私の発明品を体験してもらいたいのだ。」 (そんな事は分かっている。問題はどんな発明品かという事なのだ。この間は「水中で息ができる装置」を付けられてプールに入れられ溺れかかった。その前の自動翻訳会話装置の時は、装置を外した後も一週間ほどアマゾンの原住民の言語「ピカント語」しか話せなくなった。今度はどんな発明なのか)  そんなトーリの杞憂をよそに優介は笑顔だ。 「君はじゅうたいを知っているか?」 (質問の意味が分からない。じゅうたいとは「渋滞」の事だろうか? 重体? 縦隊?)  トーリは返答に困った。その表情を見て優介はため息をつき言った。 「君は何も知らないのだな。仕方がない。説明してあげよう。   じゅうたいと言うのは道が混む事だ。普段であれば十分で到着する道のりを何らかの要因で三十分や一時間ほどの時間を要する時がある。その混雑して前に進む速度が極端に……。」 「知ってます、知ってますっ!交通渋滞の渋滞ですね!」  トーリは長くなりそうな優介の説明を遮った。 「なんだ、知っていたのか。君は渋滞をどう思う? 渋滞に嵌ってしまったらどんな気分だね?」 「え? 渋滞ですか……。そうですねぇ。渋滞は嫌いです。嵌ってしまったらイライラしますね」     
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