怖い夢

「亮太と２人だけでこうして飲むのははじめてだね！」

菜摘が笑顔で僕に話しかけてきた。

「拓也がいないと寂しい感じもするね！」

僕は、本当は菜摘とこうして２人だけで飲むことができるのが嬉しいはずなのに、僕は自分の本心とは違う話をした。

菜摘と僕は、いつものようにたわいのない話で盛り上がったが、僕はタイミングを見計らって拓也の話をした。

「拓也は、菜摘のことが好きみたいだよ！」

菜摘は拓也のことを好きだと思っていた僕は、菜摘が喜んで恥ずかしがるような仕草をするのではないかと想像していた。

しかし、この時の菜摘の反応は、僕が想像していたものと全く違っていた。

菜摘の顔から笑顔が消えてキョトンとした表情で、何か寂しそうな眼差しで僕の目を見つめているようだった。

僕は、何か取り返しがつかないことを言ってしまったのだろうか？

２人の間に沈黙があり、菜摘はうつむいた状態になった。

少しすると、菜摘が顔をあげて、

「そうなんだ！」

と、ぼそっと発言した。

その後お互いに、何となく話しにくい雰囲気になり、居酒屋を出てお互いの自宅に帰った。