怖い夢

7/10
前へ
/10ページ
次へ
僕は借りていた装置を持って、再び睡眠科学研究所を訪問した。 借りていた装置を伊藤さんに渡すと、ディスプレイが用意されて、ここに僕が見た夢の内容が映し出された。 全体的にはっきりしない映像だが、自分の目線のようだった。 僕の目の前に女性がいて、この女性の顔がぼんやり映し出されたが、どうも雰囲気からして菜摘のようだった。 菜摘が僕に話しかけているようだったけれど、どうも話の内容がおかしかった。 「拓也は、私とは別に付き合っている人がいるでしょう?」 「あぁ、いるよ!  僕が誰と付き合おうと勝手だろ!」 どうも自分が話しているような感じではなかった。 僕の隣に、拓也がいるような雰囲気だった。 菜摘は、怒りが爆発して、殺気立っているようだった。 菜摘は、刃物を取り出して、僕の方に向かってきた。 ここで、映像は途切れてしまった。 沖田さんは、僕に気を遣って話をしてくれた。 「夢の映像は、過去にあった出来事や想像の出来事だと考えています。  未来を予知する映像だという事例はないのですが、念のために注意してください。」 「はい、わかりました。」 僕は、何か得体のしれない不安に襲われながら、この日は帰宅した。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加