鴉のなく夜に

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青年の腕と、オルカの腕から。 「…………!?」 オルカは腕を押さえた。青年が腕が切れる途中で止まった糸を片手で取り外しながら、呟いた。 「千切れても良かったのに。流石に片腕無くなれば動けなくなったよね」 その言葉から、オルカは察した。青年の怪我は此方に返ってくる。彼を殺すならば、一撃で仕留めるしかない。 「あんたの武器なら接近戦は難しいかな」 青年が再び床を蹴る。早い。オルカは青年がほどいた糸を引き、青年の足に巻き付けた。切るのではなく、糸で彼の足をすくい、躓かせる。 青年は片足の自由を奪われ、床に転がった。オルカは青年が取り落としたナイフを素早く拾い上げ、青年に馬乗りになった。ナイフを躊躇なく心臓へ突き立てる。 が、その手をすんでのところで青年が掴んだ。二、三センチ皮膚に沈んだナイフに、青年が笑う。 「ゆっくり突き刺せば、あんたの胸にも穴があいてくよ?後悔する前に、やめなよ」
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