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辺りが暗くなってきたのに気付き、はっと我に返った。家まではそう遠くなかったが、真っ暗になったら流石に帰れる自信は無い。不気味なその場所を後にし、俺は家に急いだ。
小走りで森を抜け、何とか家に辿り着いた。何度か木の枝に足を引っ掛かれ、出血してる箇所が2、3箇所あった。だがそれより段差が多い森を走り抜けるのがこんなに辛いとは思わなかった。もう二度と寄り道はしない。そう思いながら玄関の鍵を開け中に入った。
「ただいま~。起きてるか~龍馬~。
「……」
返事は返って来なかった。予め食用のサイズにしておいた猪を台所に置き、2階の龍馬の部屋へ向かった。まさかまだ寝てるのか?いや流石のアイツでも日が沈むまで寝てるはずは…自問自答していると直ぐに龍馬の部屋の前にたどり着いた。
「おーい。龍馬ー。寝てるのかー?」
「……」
「お前の好きな猪狩ってきたぞー。さっさと食べちまおうぜー。」
「……」
ここまで龍馬に無視されるのは初めてのことだ。俺は内心イライラしながらもう一度声をかけた。
「おーい!龍馬ー!いい加減にしろよ!」
「……」
「チッ。これ以上無視するなら部屋の中入るぞ!」
「……」
思わず舌打ちしたが、アイツからの反応はない。俺は部屋のドアノブに手をかけ、龍馬の部屋へと入っていった。
「おい龍馬!お前いくらなんでも……」
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