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「うおおおおおおおお!!」
俺は棒を高く振り上げ、相手の頭をーー
「杉谷!!俺だ!」
俺は振り下ろす直前にその腕を止めた。俺より何回りも大きいその体格。俺の目の前にある屈強な腕。そして威圧感のあるその声。そして忘れもしないその顔。俺が殴りかかろうとした相手は、片岡さんだった。
「なんだ…片岡さんか…」
「取り敢えず一旦落ち着け。何があった?」
俺は再度床に尻をつけ落ち着き、片岡さんに事の顛末を話した。 家に帰ると龍馬がいない事、枕の横に龍馬の手がある事、森の奇妙な光景の事も話した。
「なるほど。取り敢えずお前が無事で良かったよ」
「ええまあ…そういえば片岡さん今日帰りが遅くなるって言ってませんでした?」
「色々あってな。あっちの町ですぐに用は済んだのさ。だがまさか本当に龍馬に何かあったとは思ってなかった。」
そう言って片岡さんがポケットから取り出したのは、窓からの月光に照らされキラキラと光るネックレスだった。俺はこのネックレスを知っている。
「それは…!?」
「ああ。龍馬が肌身離さず持っているネックレスだ。死んだアイツの、龍馬の母親が残した形見みたいなものさ。」
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