第1記

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第1記

寝起きはみんな機嫌が悪い。生きていればどんな馬鹿でも知ってることだ。 「杉谷!!朝飯できたから冷めないうちに食べろ!!!」 そんな俺の機嫌を知るかと言わんばかりに、馬鹿でかい声で俺を呼ぶ声が聞こえる。そして不機嫌のまま下の階に降りていくと別の声が俺に話しかけてきた。 「おお、起きたか杉谷。」 階段から見て左からのらりくらりと歩いてきたこの男。整った顔とは裏腹に、相変わらず髪の毛がボンバーしてる。 「おはよう龍馬。また今日もすげえ髪だな。」 「ほんとだよ…毎朝毎朝直すのめんどくせえわ。」 グダグダしゃべった後、龍馬は先に居間に向かった。あいつはここの家主の長男で、年は20手前くらいだったか。大抵家で昼寝してたり酒飲んでたりしてる。たまーに森に狩りに行ったりしてるけど、家以外の人と話してるのは見たことない。 俺は洗面台で顔を洗い、龍馬よりちょっと遅れて居間に入った。居間は階段から右に進んだところにあり、龍馬が出てきた左には洗面台やらトイレやらがある。階段の目の前にも1つ部屋があるのだが、その部屋に入るのは禁止されている。龍馬も入ったことがないらしく、「開かずの部屋」と俺たちは呼んでいる。     
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