第1記

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さて、居間に入るとすでに家族全員がちゃぶ台を囲んで飯を食い始めていた。 「おう杉谷。席はいつもの場所な。」 「杉谷おはよう~」 俺に席を指示してきた男はこの家の家主の片岡晴人。年は聞いたことないが30後半といったところか。190あろうかという巨体で、おまけに筋肉質だからおっかないってもんじゃない。だが性格はその体に似つかわしくない温厚な性格だ。なんて言ったって、見ず知らずの俺を見返りなしに養ってくれてるからな。まさに人間の鑑だ。 もう一人の声の主は龍馬の妹の春菜。前に年を聞いた時は永遠の12歳だと言っていたが、実際は16歳くらいだろう。でかい父親も相まって小柄な体格に見える春菜は俺のことに興味がないのか、俺の素性について一度も聞いて来たことがない。まあ聞かれても答えに困るのは俺だが。いや、もしかしたら春菜なりの気遣いなんだろうか? 「今日も帰りは遅くなる。飯は適当に食ってくれ。」 「あー、私も今日帰らないから。」     
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