第1記

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そして片岡さんの家で暮らすようになって数週間が経ち、俺は自分にある能力がある事に気付いた。新しい暮らしにも慣れ、森を探索していた時。あの時の俺は自分が思っているより深くに入っていたらしい。2.5mはある巨大な熊に遭遇してしまった。しかも時刻は夕暮れ。熊は腹を空かせていたのか、俺に襲いかかって来た。パニックを起こした俺はとっさに足元にあった太い木の枝で熊の頭を殴った。普通に考えれば多少太かろうが木の枝が熊に効くわけがない。だが次の瞬間。熊の動きが止まったかと思うと、熊は血を流しながら倒れたのである。 あの時俺は身を守りたい、目の前の熊を倒したい一心だった。最初は火事場の馬鹿力かと思ったが、いくらなんでも熊を倒すほどのモノではない。そして俺は毎日森に行き、これが一体何なのか理解したのだ。 この森は少し深くへ行くと木々がとても太く、頑丈になる。俺は最初に持ってきた鉄の棒で目の前の木を思い切り叩いた。だが木はビクともしない。それどころか鉄の棒が曲がってしまった。そして次。俺は拳を上にかざし、目を閉じた。そして全ての神経をその拳に集中させ、そしてもう一度目の前の木を、今度は拳で叩いた。するとその拳は、その強固な木を貫いたのである。 これが俺の持つ特別な力。そしてこの力の用途はこれだけではない。俺は再度目を閉じ、まるで俺の体が持つエネルギーを木に注ぐように、穴の空いた木に手を当てた。次に俺が手を離した時、俺の貫いた穴は影も形も残っていなかった。     
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