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――――――「結月、とりあえず各部屋の掃除は、ひととおり終わったみたいだけど、まとめたゴミ、どこに集めて……」
ガチャリと部屋の扉を開けたところで、叶多があまりの惨状に絶句した。
「大和……それに結月まで……何やってんの?」
「……何って、片付け」
「それの何処が!?」
部屋中に散らばった、叶多の目にはゴミにしか映らないたくさんの物。
いっそのこと全部かき集めて捨てたほうがいいんじゃないかと、叶多のこめかみがピクピクと痙攣した。
「だいたい結月も結月だよ。言いだしっぺのくせになんで大和と一緒に和んでんの」
「そ…それは…だな……」
叶多の視線に脅威を感じ、慌てて大和が立ち上がった。つられて結月も立ち上がる。
「だ、大丈夫、ちゃんとやるから!!」
「本当に?」
「ホントホント」
全然納得がいかないといった態度の叶多の背中を押し、なんとか部屋から追い出した二人は、バタンと部屋の扉を閉じ、ほうっと息を付いた。
「…………」
「片付け、始めるか」
「そう…だな」
「まずはその手紙。他のガラクタと混じらないようにちゃんとしまっておけよ」
「わかってるよ」
なんとか片付け作業を開始した二人は、そんな言葉を交わしつつ、ふとお互い顔を見合わせてくすりと笑いあった。
FIN.
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