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――――――「大和、ゴミがあったらまとめるので出してほしいのだが……」
結月が談話室の掃除を終えて自分達の部屋に戻ってくると、大和は部屋の中央にあぐらをかいて何やら真剣に悩んでいた。
部屋中に散らばっているのは、いったい何処から出てきたのかと思えるほど色々な雑貨たち、主に古い雑誌やゲーム、ジュースなどのおまけについていたフィギュアやおもちゃ、カード類。
「……これは……まだゴミを出せる段階ではない……ということか?」
「だって、どれもこれも捨てられねえんだよっっ!」
大和の叫びに結月がやれやれと肩を落とす。
「だったらもう少し整理整頓ということを考えろ」
言いながら、足下に転がっていた、手のひらサイズのロボットのフィギュアを拾い上げ、しみじみと眺めてみる。結月にとっては、これの何処が捨てられないものなのか皆目理解できないのだろう。
「そっちの箱はなんだ?」
ベッドの下に置いてあった大きめの箱の中には、何やらぬいぐるみらしきものが詰まっている。
「UFOキャッチャーの景品」
「…………大和」
「いくつかはクラスの女子にあげたりしてるんだけど、それでもこういうのって貯まっちまうもんじゃねえか」
「貯まって困るなら、ゲームなどやらなければいいだろう」
「ああいうのは取るという行為に意味があんの!」
やはり大和の趣味は結月の理解の範疇を越えている。諦めたようにため息をつき、結月は大和の正面に腰を下ろすと、ふと目に付いた封筒を手に取った。
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