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「何がきっかけだったのかはもう忘れちまったけど、いつだったかその事がバレてクラス内が大騒ぎ。なんだ、お前日本人じゃなかったのかよーって。クラスの奴らが寄ってたかってそいつをいじめ倒した」
結月がゴクリと唾を飲み込んだ。
「後でそいつらに聞いたら、隠してたってことが、なんか裏切られたみたいな気になって、余計腹が立ったんだって言ってたんだけどさ。なんせ、その女の子、バレるまではクラスのアイドル的存在っつーか、めっちゃ可愛い子だったからさ」
愛らしくて皆に好かれていた美少女。その少女に憧れていた男子も多かったのだろう。だからこそ許せない。
自分を周りに偽るという行為は、それがどんな事であれ、人に対する裏切り行為にあたるのだと。幼心にその頃の大和のクラスの子供達は無意識に感じていたのだろうか。
「……だからといって」
「そうさ。だからってそれが女の子をいじめていい理由になんかならねえ。俺、めちゃくちゃ腹立っちまって、クラス中敵に回して大喧嘩。姫を護る騎士ってな状態だった」
へへっと笑いながら大和は結月に向かってガッツポーズをした。
「……で?」
「もちろん圧勝。まあ、先生にはすげえ怒られたけど。でも、その大喧嘩の所為で、そのあとそいつをいじめる奴はいなくなった」
「……そうか」
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