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高校に入って二度目の冬が来た。相変わらず、部活は忙しい。
あれ以来、というのは、一年前の電車のアクシデント以来、彼には会っていない。
でも、どこかで。
また、なにかが起こって、たまたま会うなんてことがあるんじゃないかと思っている。
゛いやあ、俺、お前がなんで中学でモテてたかわかったわ。優しいからだ!”
知っている。
あの日、親切にしてくれたことは、彼の性格なんだと。
私だけが、特別なんかではないと。
それでも、彼のことは忘れられない。
一目ぼれ。
安っぽい言葉で表すなら、そうかもしれない。
でも、たった一度の親切で。
ましてや、中学が一緒だったというだけで。
今更「好き」などとぬかすのは、どこかおこがましいと思った。
あの時、ちゃんとお礼を言えばよかった、そう思いながら。
もう一度会いたいと思いながら。
あなたがが好きです
を口にすることはなく、
きっと、私は高校生活を終えるのだろう。
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