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「学校行かないのー!?」
「えっ!?」
部屋の外からママの叫び声。
今まで寝ていた体を何とか起こして時計を見ると・・・
「もう6時!!」
「朝ごはんどうするのー!?」
「お、おにぎり作って!!」
やばいやばいやばい!
6時20分の電車には乗らないと、遅刻確定だ。
パジャマを脱ぎ捨てて、急いで制服に身を包む。タイツも忘れない。もちろんカーディガンも。こんな寒い中、防寒具なしでは凍死してしまう。
三分後。
「ママ!髪ゴムがない!」
「知らないわよ!冬なんだから下ろしてけばいいじゃない。それくらい自分でやりなさい!」
間宮麻美16歳。女子。
県内トップの公立高校に通う一年生さながら、髪の毛だけは自分では結わけない。
それからさらに3分後。
顔を洗い、コンタクトを入れ、行く準備万端で台所に行った。テーブルの上にはおにぎりが3つとお弁当が置いてある。
「ありがとママ!さすがお母さま!」
「いいから早く食べていきなさい。もう出ないと電車間に合わないわよ。」
「大丈夫!走れば駅まで5分だから。」
中身は全部梅干しだった。まあ、目覚めにはいいかもしれない。
ようやく食べ終わって、歯磨きをして、靴を履く。
「行ってきます!」
「部活は?」
「午後練。8時過ぎには帰ってくる。」
「気を付けてね。」
ドアを開けると、12月の冷たい風が、一瞬で体の芯まで凍らせる。
今日も、あわただしく一日が始まった。
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