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駆け込み乗車はおやめ下さい、なんて文句は無視して、ぎりぎりセーフで電車に乗り込んだ。階段を走ったので私は息が上がっているというのに、男子二人は涼しい顔だ。さすが男子だなあ。
「お前さ、まだスマホ持ってなかったんだ。」
「え、まじで?まだスマホ持ってないの?」
こういう発言も聞きなれたものだ。
「うん。通信料払えるまでだめだってマ・・・お母さんに止められてて。高校入ったらバイトして、スマホ買おうと思ってたんだけど、部活入っちゃった。」
「へえ、えらいなあ。」
うんうん、と会田の友人がうなずく。
「間宮、何部?」
「合唱。そっちは?」
「サッカー。こいつも、小学校からのサッカー仲間。」
「はじめまして。鈴谷です。祐の彼女さんの名前は?」
「彼女じゃないです。間宮です。はじめまして。」
彼女にしとけよーと鈴屋はからっと笑う。
中学の頃はそこまで仲の良かったわけではないが、不思議と話が弾んだ。中一の時の担任の話、クラスの誰彼の話、互いの高校での話。
そんな談話のうちに、鈴屋の乗り換えるひとつ前の駅になった。
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