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「笑えるようになれてよかったですね。ではお約束通り「代償」を頂きます。」
「はい」
「では、私はこれにて。」
頭の中で声がしたと同時に、私は現実に引き戻された。
福田さんが私に、話をしている。
「いいか、ミキ。社員は簡単な道のりじゃない。」
何だろう。
何かを忘れたような。
それが思い出せない。
安原は本を取り出して開く。
そこには、試験勉強をする女性の姿が映っていた。
「サトシっち。彼女から持っていった「代償」って何?」
タクの言葉に、私は答える。
「彼女が一番思い出したくない、『小学生時代の記憶』です。」
「・・サトシっち、優しいね。もしかしてミキっちが自分と似てたから?」
「・・・・。」
私は黙って本を閉じ、窓に強く当たる雨を見続けた。
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