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しらないトビラ
地上へと上がる階段を上ったら、女性が立っていた。何かを配っている。キャッチだな。そう合点し、目を合わせず顔も見ず通り過ぎようと思った瞬間。
思いがけないことばをかけられた。
「ボンジュール」
よく見たら外国の女性だった。そしてフランス人。
近くにショップか何かを開いているのかもしれない。
ぼくはその予期しない出会いに、歩き続けるがぐるりと顔だけ振り返り
じーっとその女性を凝視した。
すると女性はその視線に気づいたのか
こちらに顔を向け頬を柔らかく上げて、ほほえんだ。
彼女が配っていたショップカードか何か分からないが、
それを受け取っていたら、違う道が始まっていたかもしれない、
なんて夢想する、せわしないとある平日、であった。
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