9人が本棚に入れています
本棚に追加
っていうか、休みボケってなんだよ。時差ボケみたいに言いやがって、と、脳内漫才を終わらせて、僕は先生から詳細を聞くことにした。
帰ってきたのは、このような返答だ。
「いや、山村も林も卒業しちまっただろ? あの二人からは何も聞いてなかったのか?」
「聞いてませんけど?」
山村凛と林恵麻。
文芸部の先輩にして、僕を文芸部へと誘い込んだ人たちである。
凛先輩も、恵麻先輩も無事にこの稲穂山高校を三月で卒業して学校を去っていった。
僕は後輩らしく卒業式の次の日にささやかながら壮行会を開いて二人を見送ったのも今や懐かしく感じてしまう。
高校生御用達のイタリアンファミレスの料理を奢っただけだったけど、二人ともとても喜んでくれた。
最後のさいごで、後輩らしいことをできた気がする。
それはともかく、だ。
そんな貴重な文芸部の部員が、二人もいなくなってしまった。
文芸部に在籍する生徒は、僕一人だけ……。
「あー、それは廃部になりますね」
「だろ?」
磯野先生と無駄のない字数で会話を終わらせる。
先生は、一応は職員会議でも異議を唱えてくれたようで、すぐに廃部ということではなく、新しい新入部員が入ってくるのならもう一度掛け合うというのだが……。
最初のコメントを投稿しよう!