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兄さんは、私のことをよく知っていた。
だから、姉さんと喧嘩をしてこうなっていることを既に見透かしていた。
兄さんは、頭がいいから、私みたいなわかりやすい子のことは、なんでも予測立てちゃう。
困ったなぁ。
「ネルファ、今日は自動車を見に行くんだろう」
おっと、色恋話にはノータッチ?
兄さんの変化球だ。
でも、ちゃんとこちらが打てる変化球投げてくるから兄さんすごい。
「兄さんも今日は行くんでしょ? 」
なんとか変化球を打ち返した私は、まだ動揺していた。だって、兄さん絶対あの喧嘩の件で来たんだから!
いつまでも今朝の件にならないのを不思議に思う私。っと兄さんはいつまでたってもその話題を持ち出さない。
あれは、兄さんにとって、どうでもいいことだったの?
少しふさぎ込んだ私の頭に、兄さんの手が置かれる。
「ネルファは、本当にコリス君のことが好きなんだな」
兄さんは、初めてその話題を出して笑ってくれた。
「アッティーから話も聞いたようだし、気になることばかりだろう?」
私は、頷いた。
何も言えなかった。
ただ、なんとなく自分の中で何かが切なくなって来てしまって、気がついたら兄さんにしがみついて泣いていた。
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