第1話 丘と森と

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公爵家に新しい何かがやって来た。 姉さんがそう言ったものだから、私も興味があって行ってみた。 すると、そこにはみたこともない馬車があった。 それは真っ白に塗装された鉄でできていて、訳の分からないものがいっぱいついていた。 だけど、肝心の馬がいない。 「馬は、どこにいるんですか、これ?」 私は、誰にともなく聞いてみた。すると、公子様が胸を張って応えた。 「自動で動くんだよ。馬はいらないんだ。ただ、ガソリンって言う食べ物はいるんだけどね」 「ガソリン?」 「油の一種だよ。それを燃やして力にして動く」 それを聞いて、私はワクワクした。 馬車よりもずっとコンパクト! 他にない乗り物! でも、そのガソリンって、どこで手に入れるの? 私が素朴な疑問をぶつけると、みんなは黙ってしまった。 「隣町に、たしかガソリンを扱っている店があったぞ」 公子様が焦ってる。なかなかこんな姿見れないな。 「でも、隣町は結構遠いわよ。この辺って辺境じゃない。だいたいガソリンないと動かないんじゃ、馬車でガソリン買いに行くハメになりかねないわ」 たしかにこの辺は森に囲まれていて何もない。 姉さんの言う通りだ。 公子様は、少し凹んでいる。 「姉さん、ちょっと言いすぎだよ」 私は姉さんに囁いた。 すると、ハッと気づいて姉さんは訂正した。 「ガソリンのことは、あとで考えるとして、それ動くの?」 すると、公子様は、元気を取り戻した。 「もちろんだ。やってみよう」
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