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公爵家に新しい何かがやって来た。
姉さんがそう言ったものだから、私も興味があって行ってみた。
すると、そこにはみたこともない馬車があった。
それは真っ白に塗装された鉄でできていて、訳の分からないものがいっぱいついていた。
だけど、肝心の馬がいない。
「馬は、どこにいるんですか、これ?」
私は、誰にともなく聞いてみた。すると、公子様が胸を張って応えた。
「自動で動くんだよ。馬はいらないんだ。ただ、ガソリンって言う食べ物はいるんだけどね」
「ガソリン?」
「油の一種だよ。それを燃やして力にして動く」
それを聞いて、私はワクワクした。
馬車よりもずっとコンパクト!
他にない乗り物!
でも、そのガソリンって、どこで手に入れるの?
私が素朴な疑問をぶつけると、みんなは黙ってしまった。
「隣町に、たしかガソリンを扱っている店があったぞ」
公子様が焦ってる。なかなかこんな姿見れないな。
「でも、隣町は結構遠いわよ。この辺って辺境じゃない。だいたいガソリンないと動かないんじゃ、馬車でガソリン買いに行くハメになりかねないわ」
たしかにこの辺は森に囲まれていて何もない。
姉さんの言う通りだ。
公子様は、少し凹んでいる。
「姉さん、ちょっと言いすぎだよ」
私は姉さんに囁いた。
すると、ハッと気づいて姉さんは訂正した。
「ガソリンのことは、あとで考えるとして、それ動くの?」
すると、公子様は、元気を取り戻した。
「もちろんだ。やってみよう」
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