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「お願いっ。だって小人と言えば七人と相場がきまってるじゃなーい」
三人はチルトゥルのマネージャーであるおねえの事務所にいた。キララの依頼の報告に来たのだ。
また元気に働き出したキララから、先に話を聞いていたおねえは、三人の報告を聞くのもそこそこに「小人の探偵事務所」のメンバーに入りたいと懇願してきたのだった。
拝むように両手をすり合わせて、三人の顔を順番に見つめる。ペットショップにいる子犬だったら、即買ってしまうかもしれないウルウル攻撃をおねえは繰り出してきたが、残念ながらおねえがやってもさほどの効果はなかった。
さつきはこの件は自分の担当ではないと言わんばかりに、天井に視線をさまよわせている。
白雪はオロオロとおねえと時羽を見比べるばかりだ。
時羽はちょっと咳払いした。
「あのですね。」
「ダメッ。断っちゃ、ダメよォ。だって隣のおばあさんも小人のメンバーだっていうじゃない? アタシ、役立つわよー」
時羽が口を開こうとすると、すかさずおねえは自分を売り込んでくる。
「幸子さんは、たくさん依頼を持ってきてくれるんですよ……」
さつきがポロッと口を挟む。
「あら。それを言うならキララの件、依頼したじゃない?」
おねえが必死になる程に、デスソースの味が濃くなってくる。
「分かりました。じゃあ、七人目の小人ということで」
デスソースの味に耐えきれなくなった時羽が早口で了承してしまった。
「いいの? 本当に?! いえ、もう今さらダメって言ってもダメよ」
おねえは一転してウフフと笑顔になった。
デスソースの味は、甘塩っぱいざらめ煎餅の味に早変わりした。
(ざらめ煎餅、好きなんだよね)
時羽は苦笑いして、おねえに右手を差し出した。
「よろしくお願いします」
さつきは時羽が決めたことには異存はないので、やはり右手を差し出した。
順番に握手をしながら、おねえは嬉しそうに笑った。
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