エンドロール

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 少女の手が頬に触れた。 「さあ、顔を上げて。そろそろ次の上映が始まるわ。あなたが創った退屈な“作品”が。上映時間三十四年の大作ね。おまけに四カ月と十三日のエンドロールも付いているわ。」 顔を上げた。少女は微笑みを浮かべている。 「いやだ。もう見たくない。もうやめてくれ――」 懇願する僕に、なおも少女は優しく囁く。 「これはあなたへの罰。途中でやめることも、目をそらすことも許されないの。」
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