エンドロール

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「いったい、あと何度観れば許されるんだい?」 「あのお方は千回繰り返せと。」 「千回・・・。」 絶句した。文字通り気が遠くなった。少女の無表情な声が告げる。 「あと、九百九十五回ね。」 「千回・・・。千回・・・。」 三十四年の人生を千回見るということは―― 「三万四千年も続くのか・・・。」 「ええ。正しくはそれにエンドロールの時間も加わるわ。」 「そんなの無理だ。 どうにかして減らすことは?」 「ここでは減刑も情状酌量もないわ。」 「そこをなんとか、苦痛なら十分受けた。キミは知っているだろう。キミからそのお方に掛け合ってもらえないか。」 少女にすがり付いてでも嘆願しようと試みたが、体は不思議な力で縛られたように動かなかった。視線をスクリーンから離すことさえもできなくなっている。 「諦めて。ここでは、逃げることも目を背けることもできないの。」
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