エンドロール

15/15
前へ
/15ページ
次へ
 少女は立ち上がった。 「次は百回目の上映が終わった後に来るわ。だいたい三千三百年後ね。」 絶望した。いやだ、一人はいやだ。 「待って、行かないで。お願いだから傍にいて――」 必死の懇願に振り返った少女の答えは無慈悲なものだった。 「ごめんなさい、それはできないわ。」 そして、優しい声で囁いた。 「こんな退屈な人生をじっと観るなんて、死んでもイヤよ。」  明かりが落とされた。  幕が上がった。赤ん坊の泣き声が聞こえる。祝福の声。スクリーンに映された女性は目に涙を浮かべて微笑んでいた。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加