エンドロール

7/15
前へ
/15ページ
次へ
 少女が立ち上がった。  どこかへ行ってしまうのか。引き留めようにも咄嗟に言葉が出ない。すると、少女はおもむろにこちらを向いた。その瞬間、今までスクリーンに釘付けだった視線が解放され、僕の視界は自由を取り戻した。はじめて目が合った。顔を見た。懐かしい面影。キミは誰?  少女はまっすぐに僕を見つめて反論した。 「でも、あなたは言った――退屈な“作品”――だと。」 少女は続ける。 「あなたは自分の満足できる“作品”を創れなかった。少数精鋭なんてまやかし。」 昏くて重い声。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加