第一話 先生の家

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 ヨッチャンに応える 実々さんは薄いカフェオレのような肌をしています。  ママがフィリピンという国から来て、褐色の肌をしているからです。  パパは日本の人なので、娘の実々さんは濃い茶と黄色が混じって儚げな茶色なのです。  髪はセミロングの黒色です。  本当は大学に入るとき、茶色に染めるつもりでした。  でも直前で不安になって、お店の前でUターンしたのです。 「もうこの辺のはずなんだけど……」  腕時計を、つまり僕を見ながら実々さんはつぶやきます。  場所は大学から二駅行った住宅街に移っています。  実々さんは、家と大学の周り以外では土地勘がありません。  北陸から関東の方へ越してきて、まだ二年 しか経っていないので仕方ありません。  ちょっと方向音痴だったりするので、尚更仕方ありません。  実々さんは大学で宇宙科学という勉強をしています。  なんか難しいやつです。  実々さんは楽しそうに勉強してます。  将来はずっとそれの勉強をするか、それを人に伝える仕事がしたいようです。  あ、と実々さんが小さく口を開きました。  スマートフォンと表札の文字を見比べて、 「良かった」  と小さく微笑みました。  どうやら目的の家が見つかったようです。     
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