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第一話 先生の家
僕のご主人の名前は、本多実々(ほんだ みみ)。
そして僕は彼女のおしゃれな腕時計。
その日も大学の路面には、太陽光が元気よく降り注いでいました。
実々さんも、いま実々さんの前にいる茶髪の女の人も日焼け止めを 塗っています。
「ほんと助かる! 本多さん!」
目の前の茶髪さんが大げさに合掌をします。
実々さんは、私は全然大丈夫ですからと控え目に微笑みました。
茶髪さんは実々さんが喋っている途中でもう校舎の方へ駆け出しています。
「ホントありがとねー!」
走りながら元気よく手を振っています。
そして校舎の中へ消えました。
茶髪さんに応えるように、隣のヨッチャンも手をブンブンしています。
実々さんは軽く会釈しながら、脇腹のあたりで小さく手を振ります。
実々さんはこういう時、小さくしかリアクションを取りません。
「惜しかったあ。
ホームキーパーのお礼にチケット一回とかー。クラブなかったらアタシ行きたかったー」
歩き出しながらヨッチャンが言いました。
ホッケーをやっている彼女の顔はこんがりと焼けています。
「惜しかったね」
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