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「おはよう、大夢くん。」
教室で、貴彦は先に登校していた大夢に声をかけた。
もう読み終わっている図書の本を広げていた大夢の顔が、ぱっと笑顔になる。
「おはよう、貴彦くん!」
あれ、何だか元気だな、大夢くんと、貴彦はその声と表情から思った。
夏休み中の1週間、大夢は貴彦と共にマグノリア・マナーに滞在した。
それから今日まで、貴彦は大夢とは会っていない。
あの1週間は、テレビともゲームともパソコンとも無縁で、二人で元気に遊び回っていた。
その1週間という時間の中で、大夢は以前よりほんの少しだけたくましくなったように感じられたが、今はそれ以上だ。
「僕ね、食べられるものがうんと増えてね!」
「本当?よかったねえ、大夢くん!」
「パパもママもすごく喜んじゃって、毎日ものすごい量のご飯を作るんだよ。」
余っちゃってもったいないよねと言う大夢は、まったく困った様子ではない。
偏食で少食だった息子の変化に、両親はさぞ大喜びしたのだろう。
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