音楽発表会とオトさん

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外食で食べられるものが少なく、自然と外へ行かない生活が当たり前のようになっていた大夢に、貴彦は提案した。 「そうだね・・・今年の夏ね、僕、そんなに具合悪くならなかったんだ。」 暑さに弱い、エアコンの冷気にも弱い、大夢にとってこれまでの夏は決していい季節ではなかった。 夏バテにならなかったのは、もしかしたらあの1週間のおかげだったのかもしれない。 まだ残暑はしっかり残っているが、時間帯や場所を考えれば外出も楽しめるかもしれない、何より貴彦の提案は素敵なことが多いのだと大夢は理解していた。 じゃあママにお話してみるから、貴彦くんも一緒に行こうよと誘われて、貴彦はお父さんに聞いてみて返事するねと答えた。 夏のあの一件があったので、許可はおりないかもしれなかった。 「あー、貴彦くん、大夢くん、おはよう!」 貴彦と大夢が話していると、亜子と美穂が、一緒に入ってきた。 「夏休み、どこか出掛けた?亜子はね、夏休みの半分ハワイにいたのよ。パパの別荘があってね、すっごく楽しかった!」 早速亜子の自慢が始まった。
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