4898人が本棚に入れています
本棚に追加
/1025ページ
いつも「亜子ね、亜子はね」とまず自分のことを話す。
常にくっついてくる美穂以外の級友はやや敬遠ぎみだが、亜子は気にしている様子はなく、友人たちも嫌っているわけではないので浮いて仲間はずれになっているわけでもない。
父親が大手の建設会社の社長をしていて、母親はテレビにも登場するインテリアコーディネーターである。
亜子の自慢の一つは、父親が凝りに凝って建てた自宅や国内外にいくつもある別荘なのだ。
「写真もいっぱい撮ってきたの、見る？」
「あ、うん、ゆっくり見たいから休み時間にね。」
見ないという選択肢はないように思われて、貴彦は一応見る約束をした。
「私はねえ、ママのロケについていって北海道に行ったの。」
ツインテールの美穂の母親は女優だ。
そういえば、夏休み前に母親のロケについていくと行っていたなあと、貴彦は思い出した。
亜子も外見は可愛いが、どちらかというと美穂の方が容姿は整っている。
もしかしたら美穂ちゃんも女優さんになるのかなあと貴彦は思ったが、今のところ子役としてテレビや舞台に出たことはないらしい。
最初のコメントを投稿しよう！